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10   名詞(N)および他の名詞的カテゴリー(NPR,PRO,WPRO,Q,QN)

普通名詞(N)は言語の中で最大の品詞である。名詞は  N のカテゴリーを与えられ,NP を投射する。なお,固有名詞(NPR),代名詞(PRO),疑問代名詞(WPRO),量化詞(Q),および量化名詞(QN)のカテゴリーに割当てられる要素も広義の名詞に含まれ,NP を投射する。

     以下にコーパス中でもっとも高い頻度で出現する名詞を挙げる。 これらの多くは形式名詞である。

こと, の, よう, もと, 人, 中, ため, 方, 今, とこら, 前, ほう, 時, 家, 後, 子供, とが, 上, 部屋, 先生, うち, 父

     固有名詞(NPR)は2番目に大きな品詞である。コーパス中に最も多く現れる固有名詞は以下のとおりである。

日本, 太郎, ヘプバーン, ヨーロッパ, グレゴール, イエス, 花子, スミス, 東京, ジョン, アメリカ, 大阪, 政宗, 中国, ジョーンズ, 仙台, 京都, 東北

     多く出現する代名詞(PRO)のリストは以下のとおり。

ここ, そこ, あそこ, こちら, そちら, あちら, こっち, そっち, あっち, この, その, あの, これ, それ, あれ, これら, それら, あれら 私, 私たち, おれ, 我々, 僕, うち, あなた, 君, おまえ, 彼, 彼ら, あいつ, 自分

代名詞に関しては 14節も参照。

出現回数の多い疑問代名詞(WPRO)のリストは以下のとおり。

いくつ, いくら, いずれ, いつ, おいくら, だれ, どこ, どちら, どちら様, どっち, どなた, どれ, なに, なん, 何, 何れ, 誰

     WPRO は典型的には疑問節で用いられる。しかしながら,それらが主要部として構成する NP に対し助詞「か」「も」あるいは「でも」が後接して,量化された意味をもつ構成素を形作ることができる。これには,例えば,「だれか」のように不定の意味をもつもの,「どれも」のように全称量化の意味をもつもの,また「いつでも」のように認容の意味をもつものがある。一般に,疑問を表すすべての語 WPRO, WD, WADV, WNUM について,それらを含む句は,WPRO を主要部とする NP と同様に,疑問の焦点を受けるかあるいは量化がなされる。

(177)
誰が買ったチョコレートもおいしい。

( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-OB1 *T*)
                          (PP (NP (WPRO 誰))
                              (P が))
                          (NP-SBJ *が*)
                          (VB 買っ)
                          (AXD た))
                  (N チョコレート))
              (P も))
          (NP-SBJ *)
          (ADJI おいしい)
          (PU 。))
  (ID 6_misc_BUFFALO))

出現頻度の高い量化子(Q)の例は以下のとおり。

あまり, いっぱい, いろいろ, 大勢, 多く, 各, 数多く, かなり, 十分, 少し, すべて, 全(員) , 全体, 全部, それぞれ, 大半, たくさん, 多少, 多数, 半分, 一人一人, 複数, ほとんど, 毎(日), 皆, みんな

     Q は補部の役割をもつ名詞,浮遊量化子,指示表現等の主要部となることができる。量化表現の分布に関する議論については,29.1 節を参照のこと。

毎日, 全国, 全員, 両手, 各地, 毎年, 各々, 毎朝, 全体, 各号, 両国, 各国, 両者, 各党, 両腕, 毎月, 全会衆, 各種, 全長, 全地, 各県, 全世界, 両日, 両側, 毎週, 毎晩, 毎回, 全社員, 全国平均, 両眼, 両目, 両党, 各社員

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