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普通名詞(N)は言語の中で最大の品詞である。名詞は N のカテゴリーを与えられ,NP を投射する。なお,固有名詞(NPR),代名詞(PRO),疑問代名詞(WPRO),量化詞(Q),および量化名詞(QN)のカテゴリーに割当てられる要素も広義の名詞に含まれ,NP を投射する。
以下にコーパス中でもっとも高い頻度で出現する名詞を挙げる。 これらの多くは形式名詞である。
固有名詞(NPR)は2番目に大きな品詞である。コーパス中に最も多く現れる固有名詞は以下のとおりである。
多く出現する代名詞(PRO)のリストは以下のとおり。
代名詞に関しては 14節も参照。
出現回数の多い疑問代名詞(WPRO)のリストは以下のとおり。
WPRO は典型的には疑問節で用いられる。しかしながら,それらが主要部として構成する NP に対し助詞「か」「も」あるいは「でも」が後接して,量化された意味をもつ構成素を形作ることができる。これには,例えば,「だれか」のように不定の意味をもつもの,「どれも」のように全称量化の意味をもつもの,また「いつでも」のように認容の意味をもつものがある。一般に,疑問を表すすべての語 WPRO, WD, WADV, WNUM について,それらを含む句は,WPRO を主要部とする NP と同様に,疑問の焦点を受けるかあるいは量化がなされる。
(177)
誰が買ったチョコレートもおいしい。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-OB1 *T*)
(PP (NP (WPRO 誰))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 買っ)
(AXD た))
(N チョコレート))
(P も))
(NP-SBJ *)
(ADJI おいしい)
(PU 。))
(ID 6_misc_BUFFALO))
出現頻度の高い量化子(Q)の例は以下のとおり。
Q は補部の役割をもつ名詞,浮遊量化子,指示表現等の主要部となることができる。量化表現の分布に関する議論については,29.1 節を参照のこと。
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