Section 21 | ||
---|---|---|
コピュラ文の述語となる名詞句は NP-PRD とラベル付けされる。 詳しくは 9.4.6 節を参照のこと。
(224)
それはリンゴだった。
( (IP-MAT (PP (NP (PRO それ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-PRD (N リンゴ))
(AX だっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 11_aozora_Harada-1960_e))
NP-PRD は多くの場合「だ」「です」などのコピュラ動詞(AX)が後に続くが, 場合によってはそれが表面上現れていない場合もある。 その際は,述語名詞句は変わらず NP-PRD とし,直後に (AX *) と足す。 コピュラ省略の詳細については,9.4 節を参照のこと。
(225)
「とってもきれいなガラス玉!」
( (IP-MAT (-LRB- 「)
(NP-SBJ *pro*)
(NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADVP (ADV とっても))
(ADJN きれい)
(AX な))
(N ガラス玉))
(AX *)
(PU !)
(-RRB- 」))
(ID 240_aozora_Yuki-1-2000))
(226)
ジョンはアメリカ人の外科医かもしれない。
( (IP-MAT (PP (NP (NPR ジョン))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-PRD (PP (NP (N アメリカ人))
(P の))
(N 外科医))
(AX *)
(MD かもしれない)
(PU 。))
(ID 1335_misc_JSeM_beta_150530))
形式名詞は NP-PRD の主要部となることができる。 場合によっては(とりわけ,「はず」の場合),後続するコピュラ連体形は「な」の形式となる。 これは通常は ADJN を他から区別する特徴である。 しかし,用例のすべてにおいて形式名詞は補部または節により修飾されることから,名詞(N)としての分析が必要になる。 話によっては(例えば「病気」),構文的に曖昧なパターンで現れることがある(例えば、「病気の先生」)。
いわゆる「ノ形容詞」は NP-PRD の主要部として扱われることに注意が必要である。 「の」の形式のコピュラを認めることにより,当該の表現に1つの品詞を割当てなくとも原理にかなった記述が可能になる。
Section 20 | Section 22 |