| Section 34 | ||
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一般的に，本アノテーションのポリシーでは，同形ではあるが異なる機能をもつ語は品詞ラベル，構造的位置，文法的機能の点で区別をすることができる。 これは主として，助詞，コピュラ，助動詞，モーダル要素に当てはまる。
様々な機能をもつ要素にひとつの品詞を与えることで分析を単純化させることができる。 しかし，これは機能と意味における重要な区別を見えなくしてしまう。 基本的な機能要素に見られる異なった用法を明らかにするために， 「で」「に」「と」「の」という同一の音韻形式における助詞としての機能とコピュラとしての機能の区別を以下に示す。
「で」には（1）文法役割を示す助詞としての機能，（2）動詞につく接尾辞としての機能，（3）コピュラの非定形の機能がある。 （1）は NPをとって PPを投射する。 （2）は一部の子音で終わる動詞語幹に後続する。 （3）は述語名詞句に後続して IPを投射する。
助詞としての「で」はいくつかの意味を表す。以下の例では動作の行われる場所や機会を示している。
(482)
共通のルールをつくる過程では、交渉と説得が行われる。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-EMB (NP-SBJ *pro*)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJN 共通)
(AX の))
(N ルール))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB つくる))
(N 過程))
(P で)
(P は))
(PU 、)
(PP (NP (CONJP (NP (N 交渉))
(P と))
(NP (N 説得)))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 行わ)
(PASS れる)
(PU 。))
(ID 64_newswire_KAHOKU_00033_K201402110A0T30XX00001))
(483)
翌年、慶長20年（1615年）の大坂の役（夏の陣）道明寺の戦いでは後藤基次らと戦った。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(NP-TMP (N 翌年))
(PU 、)
(PP (NP;{BATTLE_DOMYOJI} (NML;{BATTLE_OSAKA_SUMMER} (PP (NP (NPR 慶長)
(NUMCLP (NUM 20)
(CL 年)
(PRN (-LRB- （)
(NP (NUMCLP (NUM 1615)
(CL 年)))
(-RRB- ）))))
(P の))
(NPR;{BATTLE_OSAKA} 大坂の役)
(PRN (-LRB- （)
(NP (N 夏の陣))
(-RRB- ）)))
(NPR 道明寺の戦い))
(P で)
(P は))
(PP (NP (NPR 後藤基次ら))
(P と))
(VB 戦っ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 89_wikipedia_Datemasamune))
以下の例では順列の中での位置を示している。
(484)
天正12年（1584年）10月に18歳で家督を相続し、伊達家17代を継承する。
( (IP-MAT;{MASAMUNE_INHERITANCE} (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(IP-ADV (PP (NP (NPR 天正)
(NUMCLP (NUM 12)
(CL 年)
(PRN (-LRB- （)
(NP (NUMCLP (NUM 1584)
(CL 年)))
(-RRB- ）)))
(NUMCLP (NUM 10)
(CL 月)))
(P に))
(PP (NP (NUMCLP (NUM 18)
(CL 歳)))
(P で))
(PP (NP;{DATE_FAMILY_LORD} (N 家督))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 相続)
(VB0 し))
(PU 、)
(PP (NP (N;{DATE_FAMILY} 伊達家)
(NUMCLP (NUM 17)
(CL 代)))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 継承)
(VB0 する)
(PU 。))
(ID 12_wikipedia_Datemasamune))
(485)
うん、後で返事しても、いい？
( (CP-QUE (IP-SUB (NP-SBJ *hearer*)
(INTJ うん)
(PU 、)
(PP (IP-ADV (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP (N 後))
(P で))
(VB 返事)
(VB0 し)
(P て))
(P も))
(PU 、)
(ADJI いい))
(PU ？))
(ID 54_spoken-refusal-response_JF04))
以下の例では道具，原因・理由を示している。
(486)
太郎は風邪で学校を休んだ。
( (IP-MAT (PP (NP;{TARO_232} (NPR 太郎))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (N 風邪))
(P で))
(PP (NP (N 学校))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 休ん)
(AXD だ)
(PU 。))
(ID 232_textbook_kisonihongo))
(487)
取材で行く西日本は東北とは食べ物も建造物も違う。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-LOC *T*)
(NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP (N 取材))
(P で))
(VB 行く))
(NPR 西日本))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (NPR 東北))
(P と)
(P は))
(NP-SBJ2 (CONJP (NP (N 食べ物))
(P も))
(NP (N 建造物))
(P も))
(VB 違う)
(PU 。))
(ID 12_newswire_KAHOKU_00303_K201401010W5XP4XX00001))
以下の例では材料を表している。
(488)
この煙突はレンガで出来ている。
( (IP-MAT (PP (NP (D この)
(N 煙突))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (N レンガ))
(P で))
(VB 出来)
(P て)
(VB2 いる)
(PU 。))
(ID 366_textbook_TANAKA))
これらの意味の違いに対しては品詞ラベルとしての区別は行わない。
それに対して，動詞接尾辞（「て」の異形態）は，有声軟口蓋あるいは鼻音で終わる子音語幹（泳ぐ，読む，など）の音便形に後続する。
(489)
また、ヘプバーンは縁起を担いで自身のラッキーナンバーである「55」番の楽屋を求めた。
( (IP-MAT (CONJ また)
(PU 、)
(PP (NP (NPR ヘプバーン))
(P は))
(NP-SBJ *)
(IP-ADV (PP (NP (N 縁起))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 担い)
(P で))
(CONJ *)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (PP (NP (PRO 自身))
(P の))
(N ラッキーナンバー))
(AX で)
(VB2 ある))
(NUMCLP (-LRB- 「)
(NUM 55)
(-RRB- 」)
(CL 番)))
(AX の))
(N 楽屋))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 求め)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 175_wikipedia_Audrey_Hepburn))
最後に，非定形のコピュラ「で」はまず第一に， NP-PRD の後に現れ，IP-ADV を投射する。
(490)
ハリウッド黄金時代に活躍した女優で、映画界ならびにファッション界のアイコンとして知られる。
( (IP-MAT (NP-SBJ *pro*)
(IP-ADV (NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (NPR ハリウッド黄金時代))
(P に))
(VB 活躍)
(VB0 し)
(AXD た))
(N 女優))
(AX で))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP (CONJP (NP (N 映画界))
(CONJ ならびに))
(NP (N ファッション界)))
(P の))
(N アイコン))
(P として))
(VB 知ら)
(PASS れる)
(PU 。))
(ID 3_wikipedia_Audrey_Hepburn))
また，分析的なコピュラ (AX で) (VB2 ある) あるいは (AX で) (VB2 ござい((AX ます) の中に現れる。
(491)
一人は、Ｗ君といって、初対面の人である。
( (IP-MAT (PP (NP (NUMCLP (NUM 一人)))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(IP-ADV (PP (NP;{Wkun} (NPR Ｗ君))
(P と))
(VB いっ)
(P て))
(CONJ *)
(PU 、)
(NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (N 初対面))
(AX の))
(N 人))
(AX で)
(VB2 ある)
(PU 。))
(ID 8_aozora_Dazai-1-1940))
コピュラ「で」と助詞「で」の区別が容易でないときがある。 例えば，以下の例のように事態を描写する際に用いられる「で」であるが，これは現時点では P として分析される。
(492)
刺身は生で食べる。
( (IP-MAT (NP-SBJ *arb*)
(PP (NP (N 刺身))
(P は))
(NP-OB1 *)
(PP (NP (N 生))
(P で))
(VB 食べる)
(PU 。))
(ID 777_textbook_kisonihongo))
ただし，ADJN に続く「で」は AX として分析される。
(493)
崖を必死でよじ登った．
( (IP-MAT (NP-SBJ *pro*)
(PP (NP (N 崖))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(ADVP (ADJN 必死)
(AX で))
(VB;{よじ上る.01} よじ登っ)
(AXD た)
(PU ．))
(ID 3296_dictionary_vv-lexicon_20150226))
さらに，IP-ADV において形式名詞，モーダルなあるいはアスペクトに関連する意味をもつ要素（そうべき，もの，よう，わけ，ごとく，がち，みたい，そう，とおろ，っぱなし，等）に続く「で」は AX として分析される。 これらの形式名詞や要素は主節では「だ」や「です」を後続させるからである。
(494)
私は先生の部屋に行ったが、入れ違ったようで会えなかった．
( (IP-MAT (PP (NP (PRO 私))
(P は))
(NP-SBJ *)
(IP-ADV (PP (IP-ADV (PP (NP (PP (NP (N 先生))
(P の))
(N 部屋))
(P に))
(VB;{行く} 行っ)
(AXD た))
(P が))
(CONJ *)
(PU 、)
(VB;{入れ違う.01} 入れ違っ)
(AXD た)
(MD よう)
(AX で))
(CONJ *)
(VB;{会う} 会え)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU ．))
(ID 191_dictionary_vv-lexicon_20150226))
(495)
著作権保護か何かよくわからないけれどもｍｐ３ファイルを直接取り込むのは不可能みたいで、これが不便である。
( (IP-MAT (IP-ADV (PP (IP-ADV (NP-SBJ *speaker*)
(NP-OB1 (PP (NP (N 著作権保護))
(P か))
(WPRO 何)
(P か))
(ADVP (ADV よく))
(VB わから)
(NEG ない))
(P けれども))
(SCON *)
(PP (NP (IP-EMB (NP-SBJ *arb*)
(PP (NP (N ｍｐ３ファイル))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(NP-ADV (N 直接))
(VB 取り込む))
(N の))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADJN 不可能)
(MD みたい)
(AX で))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (PRO これ))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(ADJN 不便)
(AX で)
(VB2 ある)
(PU 。))
(ID 3_blog_KNB_04_004_Keitai))
以上の「で」という音韻形式に対する扱いは多くの面で「に」「と」「の」にも当てはまる。 詳細はそれぞれ異るが，これらの形式はすべてその構造的位置に応じてコピュラとしての機能をもつ。
助詞「に」は必須の文法役割と任意の文法役割の両方をマークする。 必須文法役割を示す「に」は，可能の意味をもつ「できる」「難しい」，状態性の「必要だ」「無理だ」， 知覚を表す「分かる」「見える」「欲しい」などの述語の主語（NP-SBJ）， 「似る」「勝つ」「当たる」「飽きる」などの動詞，「詳しい」「弱い」「等しい」「厳しい」などのイ形容詞，「必死だ」「反対だ」などのナ形容詞の第一目的語（NP-OB1）， 「あげる」「送る」などの三項動詞の第二目的語（NP-OB2）， 使役動詞の第一目的語（NP-OB1）， 直接受動の論理的主語（NP-LGS）をマークする。
任意文法役割の「に」には，時間，非動作的動詞に対する空間的位置，「行く」「着く」などの移動動詞の着点（Goal）， 「借りる」「貰う」「いただく」などの動詞の起点（Source）， 「捕まる」「見つかる」「教わる」「弱る」などの非対格動詞における降格された動作主（Agent）， 「満ちる」「溢れる」「まみれる」などの動詞の動作主とも介される参与者をマークする。
特別な場合として，移動の目的を表す節に用いられる「に」がある。 これは目的節の complementizer として分析される（30.13節を参照）。
(496)
わたしは彼を起しに行く」。
( (IP-MAT (PP (NP (PRO わたし))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP-PRP (IP-ADV (PP (NP (PRO 彼))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 起し))
(P に))
(VB 行く)
(-RRB- 」)
(PU 。))
(ID 944_bible_new))
「に」もコピュラとして分析される場合がある。 ADJN に後続する「に」が ADVP を投射する場合，これは AX と分析される。
(497)
また、供養墓が他の大名などと同様に高野山奥の院にある。
( (IP-MAT (CONJ また)
(PU 、)
(PP (NP (N 供養墓))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(ADVP (PP (NP (PP (NP (N 他))
(P の))
(N 大名))
(P など)
(P と))
(ADJN 同様)
(AX に))
(PP (NP (NPR 高野山奥の院))
(P に))
(VB ある)
(PU 。))
(ID 242_wikipedia_Datemasamune))
小節（IP-SMC）における「に」も AX として分析される。
(498)
私はこの国に生まれ落ちたことを幸せに思う．
( (IP-MAT (PP (NP (PRO 私))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (IP-EMB (PP (NP (D この)
(N 国))
(P に))
(VB;{生まれ落ちる.01} 生まれ落ち)
(AXD た))
(N こと))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(IP-SMC (ADJN 幸せ)
(AX に))
(VB;{思う} 思う)
(PU ．))
(ID 343_dictionary_vv-lexicon_20150226))
(499)
怖そうにも見えた。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(NP-OB1 *pro*)
(IP-SMC (ADJI 怖)
(MD そう)
(AX に)
(P も))
(VB 見え)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 269_aozora_Natsume-1908))
「する」「なる」の補部となる IP-SMC に現れた「に」も同様に AX と分析される。
(500)
嗅覚とか味覚を刺激し、心をほぐして豊かにしてくれる。
( (IP-MAT (NP-SBJ *pro*)
(IP-ADV (PP (NP (CONJP (NP (N 嗅覚))
(P とか))
(NP (N 味覚)))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 刺激)
(VB0 し))
(PU 、)
(PP (NP (N 心))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(IP-ADV (NP-OB1 *pro*)
(VB ほぐし)
(P て))
(CONJ *)
(IP-SMC (ADJN 豊か)
(AX に))
(VB し)
(P て)
(VB2 くれる)
(PU 。))
(ID 45_newswire_KAHOKU_00303_K201401010W5XP4XX00001))
(501)
ある日、オットーは借金のカタとして自動車を回収する業者＝レポマンのバッドという男と知り合い、自分もレポマンになる事を決める。
( (IP-MAT (NP-TMP (D ある)
(N 日))
(PU 、)
(PP (NP;{YOUTH} (NPR オットー))
(P は))
(NP-SBJ *)
(IP-ADV (PP (NP (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (PRN (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (PP (NP (N 借金))
(P の))
(N カタ))
(P として))
(PP (NP (N 自動車))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 回収)
(FRAME (luID *_*)
(luName *回収する.v*)
(frameID *550*)
(frameName *Claim_ownership*)
(ARG0 *Claimant*)
(ARG1 *Property*)
(として *Role*))
(VB0 する))
(N 業者)
(SYM ＝)))
(N レポマン))
(AX の)
(FRAME (luID *_*)
(luName *の.v*)
(frameID *1029*)
(frameName *Identicality*)
(ARG0 *Current_instance*)
(PRD *Type*)))
(NPR バッド))
(P という))
(N 男))
(P と))
(VB 知り合い)
(FRAME (luID *_*)
(luName *知り合う.v*)
(frameID *1085*)
(frameName *Make_acquaintance*)
(ARG0 *Individual_1*)
(と *Individual_2*)
(TMP *Time*)))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (IP-EMB (PP (NP;{YOUTH} (PRO 自分))
(P も))
(NP-SBJ *)
(IP-SMC (NP-PRD (N レポマン))
(AX に)
(FRAME (luID *_*)
(luName *に.v*)
(frameID *1818*)
(frameName *Be_subset_of*)
(ARG0 *Part*)
(PRD *Total*)))
(VB なる)
(FRAME (luID *_*)
(luName *成る.v*)
(frameID *186*)
(frameName *Change_of_state_endstate*)
(ARG0 *Entity*)
(SMC *State*)))
(N 事))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 決める)
(FRAME (luID *_*)
(luName *決める.v*)
(frameID *363*)
(frameName *Deciding*)
(ARG0 *Cognizer*)
(ARG1 *Decision*)
(TMP *Time*))
(PU 。))
(ID 5_wikipedia_RepoMan))
「に」の場合も助詞なのかコピュラなのか決めがたい時がある。 「ご褒美に」「担保に」「しるしに」などの表現における「に」はコピュラと言えるかもしれない。 しかし，現在のアノテーションではこれらは助詞として扱われる。
(502)
メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。
( (IP-MAT (PP (NP (PP (NP (NPR メロス))
(P の))
(PP (NP (NUMCLP (NUM 十六)))
(P の))
(N 妹))
(P も))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(PP (NP (N きょう))
(P は))
(NP-TMP *)
(PP (NP (PP (NP (N 兄))
(P の))
(N 代り))
(P に))
(PP (NP (PP (NP (N 羊群))
(P の))
(N 番))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB0 し)
(P て)
(VB2 い)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 133_aozora_Dazai-2-1940))
結果節も IP-SMC として分析することが可能であり，その場合は「に」はコピュラとして分析するべきである。 しかし，現在のアノテーションではこれらは助詞として扱われる。 ただし，「に」の前の要素が ADJN であれば，「に」は AX として分析される。
(503)
どう考え、どう行動するかを判断する力、すなわち「生き抜く力」を身に付けるならば、原発事故のマイナスをプラスに変えられる。
( (IP-MAT (NP-SBJ *pro*)
(PP (IP-ADV (PP (NP (PP (NP (IP-EMB (NP-SBJ *arb*)
(PP (CP-QUE (IP-SUB (NP-SBJ *arb*)
(IP-ADV (ADVP (WADV どう))
(VB 考え))
(PU 、)
(ADVP (WADV どう))
(VB 行動)
(VB0 する))
(P か))
(P を))
(VB 判断)
(VB0 する))
(N 力))
(PU 、)
(P すなわち))
(NML (-LRB- 「)
(IP-EMB (NP-SBJ *arb*)
(VB 生き抜く))
(N 力)
(-RRB- 」)))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 身に付ける))
(P ならば))
(CND *)
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP (N 原発事故))
(P の))
(N マイナス))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(PP (NP (N プラス))
(P に))
(VB 変え)
(VB2 られる)
(PU 。))
(ID 82_newswire_KAHOKU_00055_K201406190A0T10XX00201))
NP の内部で「と」は接続助詞として機能する。 等位接続の前件では「と」は CONJP の主要部となるが，後件では「と」は上位の NP の元に置かれることに注意されたい（詳細は 28 節を参照）。
(504)
滝役の千葉治郎は阿部と内田とで決めた。
( (IP-MAT (PP (NP (PP (NP (N 滝役))
(P の))
(NPR 千葉治郎))
(P は))
(NP-OB1 *)
(PP (NP (CONJP (NP (NPR 阿部))
(P と))
(NP (NPR 内田))
(P と))
(P で))
(NP-SBJ *で*)
(VB 決め)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 124_wikipedia_Kamen_Rider))
文法役割を示す「と」は多くの場合は共格的な意味を表す。 一部の動詞はこのような「と」を要求るうものがある。
(483)
翌年、慶長20年（1615年）の大坂の役（夏の陣）道明寺の戦いでは後藤基次らと戦った。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(NP-TMP (N 翌年))
(PU 、)
(PP (NP;{BATTLE_DOMYOJI} (NML;{BATTLE_OSAKA_SUMMER} (PP (NP (NPR 慶長)
(NUMCLP (NUM 20)
(CL 年)
(PRN (-LRB- （)
(NP (NUMCLP (NUM 1615)
(CL 年)))
(-RRB- ）))))
(P の))
(NPR;{BATTLE_OSAKA} 大坂の役)
(PRN (-LRB- （)
(NP (N 夏の陣))
(-RRB- ）)))
(NPR 道明寺の戦い))
(P で)
(P は))
(PP (NP (NPR 後藤基次ら))
(P と))
(VB 戦っ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 89_wikipedia_Datemasamune))
(506)
この年には『昼下りの情事』にも出演しており、ゲーリー・クーパーやモーリス・シュヴァリエと共演した。
( (IP-MAT (NP-SBJ *pro*)
(PP (NP (D この)
(N 年))
(P に)
(P は))
(IP-ADV (PP (NP (-LRB- 『)
(NPR 昼下りの情事)
(-RRB- 』))
(P に)
(P も))
(VB 出演)
(VB0 し)
(P て)
(VB2 おり))
(PU 、)
(PP (NP (CONJP (NP (NPR ゲーリー・クーパー))
(P や))
(NP (NPR モーリス・シュヴァリエ)))
(P と))
(VB 共演)
(VB0 し)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 134_wikipedia_Audrey_Hepburn))
そのほかの場合，「と」でマークされた名詞句は動詞の要求する必須項ではない。
(507)
お昼に、卒業生と、なんか、ご飯いっしょに食べるんだけど
( (CP-FINAL (IP-SUB (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP (N お昼))
(P に))
(PU 、)
(PP (NP (N 卒業生))
(P と))
(PU 、)
(ADVP (ADV なんか))
(PU 、)
(NP-OB1 (N ご飯))
(PP (NP (N いっしょ))
(P に))
(VB 食べる)
(P ん)
(AX だ))
(P けど))
(ID 45_spoken-refusal-response_JF04))
「と」は「名付ける」「呼ぶ」などの動詞を述語とする「命名構造」において固有名詞に後続する。
(508)
日本ではヘップバーンと表記されることも多い。
( (IP-MAT (PP (NP (NPR 日本))
(P で)
(P は))
(PP (NP (IP-EMB (NP-SBJ *pro*)
(PP (NP (NPR ヘップバーン))
(P と))
(VB 表記)
(VB0 さ)
(PASS れる))
(N こと))
(P も))
(NP-SBJ *)
(ADJI 多い)
(PU 。))
(ID 2_wikipedia_Audrey_Hepburn))
「と」は接続助詞として IP-ADV に後続する。
(509)
太平の世になると美食を極めることに目的を変えて料理研究を続けた。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(PP (IP-ADV (NP-SBJ *exp*)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJN 太平)
(AX の))
(N 世))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(VB なる))
(P と))
(CND *)
(IP-ADV (PP (NP (IP-EMB (PP (NP (N 美食))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 極める))
(N こと))
(P に))
(PP (NP (N 目的))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 変え)
(P て))
(CONJ *)
(PP (NP (N 料理研究))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 続け)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 208_wikipedia_Datemasamune))
「と」は思考動詞，感覚動詞，伝達動詞などの補部節をマークする。
(510)
そっか、ごはん、いっしょに食べないかなぁと思って。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(INTJ そっか)
(PU 、)
(CP-THT (CP-QUE (IP-SUB (NP-SBJ *speaker+hearer*)
(NP-OB1 (N ごはん))
(PU 、)
(PP (NP (N いっしょ))
(P に))
(VB 食べ)
(NEG ない))
(P か)
(P なぁ))
(P と))
(VB 思っ)
(P て)
(PU 。))
(ID 43_spoken-refusal-response_JF01))
「と」はコピュラの「に」と非常によく似た位置に出現する。 以下の例の「と」は副詞的な表現においてナ形容詞の後に現れている。 このような「と」は (AX と) と分析される。
(511)
しかし、ユダヤ人らを恐れて、イエスのことを公然と口にする者はいなかった。
( (IP-MAT (CONJ しかし)
(PU 、)
(IP-ADV (NP-SBJ *pro*)
(PP (NP (N ユダヤ人ら))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 恐れ)
(P て))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (PP (NP (NPR イエス))
(P の))
(N こと))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(ADVP (ADJN 公然)
(AX と))
(PP (NP (N 口))
(P に))
(VB する))
(N 者))
(P は))
(NP-SBJ *)
(VB い)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 537_bible_new))
ただし，普通名詞のあとの「と」は P と分析される。
(296)
企画段階で紆余曲折を経た本作は、放映開始されても順風満帆とは行かなかった。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (N 企画段階))
(P で))
(PP (NP (N 紆余曲折))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 経)
(AXD た))
(N 本作))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(PP (IP-ADV (VB 放映開始)
(VB0 さ)
(PASS れ)
(P て))
(P も))
(SCON *)
(PP (NP (N 順風満帆))
(P と)
(P は))
(VB 行か)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 81_wikipedia_Kamen_Rider))
「と」は IP-SMC において， ADJN あるいは NP-PRD の後に現れる。
(513)
ここで構想されたストーリーは、本郷を父の仇と信じるヒロインや、殺人者・本郷を追う刑事などの登場人物が配され、主人公の逃亡者としての苦悩も付加された。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP;{MASK_ANGEL_SCRIPT_WRITING_BEGINNING} (PRO ここ))
(P で))
(VB 構想)
(VB0 さ)
(PASS れ)
(AXD た))
(N ストーリー))
(P は))
(NP-TPC *)
(PU 、)
(IP-ADV (PP (NP (PP (NP (CONJP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (NPR 本郷))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(IP-SMC (NP-PRD (PP (NP (N 父))
(P の))
(N 仇))
(AX と))
(VB 信じる))
(N ヒロイン))
(P や))
(PU 、)
(NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (NPR 殺人者・本郷))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 追う))
(N 刑事))
(P など))
(P の))
(N 登場人物))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 配さ)
(PASS れ))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP (N 主人公))
(P の))
(PP (NP (N 逃亡者))
(P として)
(P の))
(N 苦悩))
(P も))
(NP-SBJ *)
(VB 付加)
(VB0 さ)
(PASS れ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 38_wikipedia_Kamen_Rider))
また，「する」や「なる」の補部となった IP-SMC の中にも現れる。
(514)
また、この頃ヘプバーンは、アンネ・フランクの『アンネの日記』を題材とした舞台作品と映画作品の両方への出演依頼を受けた。
( (IP-MAT (CONJ また)
(PU 、)
(NP-TMP (D この)
(N 頃))
(PP (NP (NPR ヘプバーン))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (PP (NP (NPR アンネ・フランク))
(P の))
(-LRB- 『)
(NPR アンネの日記)
(-RRB- 』))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(PP (NP (N 題材))
(P と))
(VB し)
(AX た))
(NML (CONJP (NP (N 舞台作品))
(P と))
(NP (N 映画作品))))
(P の))
(Q 両方))
(P へ)
(P の))
(N 出演依頼))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 受け)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 127_wikipedia_Audrey_Hepburn))
(515)
礼に過ぐれば諂（へつらい）となる。
( (IP-MAT (NP-SBJ *arb*)
(IP-ADV (PP (NP (N 礼))
(P に))
(VB 過ぐれ)
(P ば))
(CND *)
(PP (NP (N 諂)
(PRN (-LRB- （)
(NP (N へつらい))
(-RRB- ）)))
(P と))
(NP-OB1 *と*)
(VB なる)
(PU 。))
(ID 134_wikipedia_Datemasamune))
「の」は文法役割を示す助詞としては，名詞句に付いて，その名詞句が後続する名詞句の補部であることをマークする。ふたつの名詞句は典型的には，所有者／所有物，全体／部分，集合／その一員の関係にある。
(516)
私のゼミの卒業生が集まって食事会をするんですけどもー
( (CP-FINAL (IP-SUB (PP (NP (PP (NP (PP (NP (PRO 私))
(P の))
(N ゼミ))
(P の))
(N 卒業生))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(IP-ADV (VB 集まっ)
(P て))
(CONJ *)
(PP (NP (N 食事会))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB する)
(P ん)
(AX です))
(P けどもー))
(ID 15_spoken-refusal-response_JF01))
「の」はまた，名詞修飾節の主語をマークする。
(517)
花子の読んだ本
( (FRAG (NP (IP-REL (NP-OB1 *T*)
(PP (NP (NPR 花子))
(P の))
(NP-SBJ *の*)
(VB 読ん)
(AXD だ))
(N 本)))
(ID 32_misc_EXAMPLE))
(518)
隙のない印象の政宗であるが、酒には滅法弱く、酔って失敗した逸話がいくつか残されている。
( (IP-MAT (PP (IP-ADV (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (IP-EMB (PP (NP (N 隙))
(P の))
(NP-SBJ *の*)
(ADJI ない))
(N 印象))
(AX の))
(NPR 政宗))
(AX で)
(VB2 ある))
(P が))
(CONJ *)
(PU 、)
(IP-ADV (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(PP (NP (N 酒))
(P に)
(P は))
(ADVP (ADV 滅法))
(ADJI 弱く))
(PU 、)
(PP (NP (IP-EMB (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(IP-ADV (VB 酔っ)
(P て))
(CONJ *)
(VB 失敗)
(VB0 し)
(AXD た))
(N 逸話))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(NP;*SBJ* (NUMCLP (WNUM いく)
(CL つ))
(P か))
(VB 残さ)
(PASS れ)
(P て)
(VB2 いる)
(PU 。))
(ID 218_wikipedia_Datemasamune))
「の」は定形の動詞とコピュラの間に現れることがある（つまり，「のだ文」を構成する要素として現れる）。
(519)
分からないのですがー
( (CP-FINAL (IP-SUB (NP-SBJ *speaker*)
(NP-OB1 *pro*)
(VB 分から)
(NEG ない)
(P の)
(AX です))
(P がー))
(ID 12_spoken-refusal-response_JF02))
「の」は形式名詞（N）となり，節を名詞化する機能をもつ。 このような「の」は疑似分裂文で典型的に用いられる。
(520)
舞台でイライザを演じていたのはジュリー・アンドリュースだったが、アンドリュースには映画出演の話は来なかった。
( (IP-MAT (PP (IP-ADV (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (N 舞台))
(P で))
(PP (NP (NPR イライザ))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 演じ)
(P て)
(VB2 い)
(AXD た))
(N の))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-PRD (NPR ジュリー・アンドリュース))
(AX だっ)
(AXD た))
(P が))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (NPR アンドリュース))
(P に)
(P は))
(PP (NP (PP (NP (N 映画出演))
(P の))
(N 話))
(P は))
(NP-SBJ *)
(VB 来)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 181_wikipedia_Audrey_Hepburn))
しかし，形式名詞の「の」は事実や動作の名詞化にも用いられる。
(521)
「あなたが裸であるのを、だれが知らせたのか。
( (CP-QUE (IP-SUB (-LRB- 「)
(NP-OB2 *hearer*)
(PP (NP (IP-EMB (PP (NP (PRO あなた))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(NP-PRD (N 裸))
(AX で)
(VB2 ある))
(N の))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(PU 、)
(PP (NP (WPRO だれ))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 知ら)
(VB2 せ)
(AXD た)
(P の))
(P か)
(PU 。))
(ID 118_bible_old))
「の」名詞句に後続し，コピュラの連体形として機能することもある。
(522)
もしよかったら、また別の機会があれば･･･。
( (IP-MAT (NP-SBJ *hearer*)
(PP (IP-ADV (ADVP (ADV もし))
(ADJI よかっ))
(P たら))
(CND *)
(PU 、)
(IP-ADV (ADVP (ADV また))
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJN 別)
(AX の))
(N 機会))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB あれ)
(P ば))
(PU ･･･)
(PU 。))
(ID 20_spoken-refusal-response_JF01))
(267)
この行為は秀吉の派手好みの性格を知っての行いと伝えられる。
( (IP-MAT (CP-THT-SBJ (IP-SUB (PP (NP;{MASAMUNE_TEE} (D この)
(N 行為))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-PRD (PP (IP-ADV (NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(PP (NP (PP (NP;{HIDEYOSHI} (NPR 秀吉))
(P の))
(IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (N 派手好み))
(AX の))
(N 性格))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 知っ)
(P て))
(P の))
(N 行い))
(AX *))
(P と))
(VB 伝え)
(PASS られる)
(PU 。))
(ID 40_wikipedia_Datemasamune))
(524)
2日後の20日に参勤交代に出発した政宗は急に病状を悪化させ、宿泊した郡山では嚥下困難に嘔吐が伴い何も食べられなくなっていた。
( (IP-MAT (PP (NP;{MASAMUNE} (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (NUMCLP (NUM 2)
(CL 日))
(N 後))
(AX の))
(NUMCLP (NUM 20)
(CL 日)))
(P に))
(PP (NP;{SANKIN_KOTAI} (N 参勤交代))
(P に))
(VB 出発)
(VB0 し)
(AXD た))
(NPR 政宗))
(P は))
(NP-SBJ *)
(IP-ADV (ADVP (ADJN 急)
(AX に))
(PP (NP (N 病状))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(IP-SMC (VB 悪化)
(VB0 さ))
(VB せ))
(PU 、)
(PP (NP;{KORIYAMA} (IP-REL (NP-LOC *T*)
(NP-SBJ;{MASAMUNE} *pro*)
(VB 宿泊)
(VB0 し)
(AXD た))
(NPR 郡山))
(P で)
(P は))
(IP-ADV (PP (NP (N 嚥下困難))
(P に))
(PP (NP (N 嘔吐))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 伴い))
(NP-OB1 (WPRO 何)
(P も))
(VB 食べ)
(VB2 られ)
(NEG なく)
(VB2 なっ)
(P て)
(VB2 い)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 115_wikipedia_Datemasamune))
助詞の「の」とコピュラの「の」の区別については，9.4.3 節を参照されたい。
コピュラの意志・推量形は語幹（だろ，でしょ，であろ）に MD の「う」が後続して作られる。
(134)
怖いのは目立たない問題だろう。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJI 怖い))
(N の))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(VB 目立た)
(NEG ない))
(N 問題))
(AX だろ)
(MD う)
(PU 。))
(ID 31_newswire_KAHOKU_00616_K201401010A0A106B00001))
コピュラ(AX だろ) (MD う) に加えて，(MD だろう) とすべきものもあるということに注意されたい。 両者は決して共起しない。 (MD だろう) はコピュラ以外の述語と「述語 + AXD」に後続する。また，コピュラの過去形にも後続する。
(526)
これはヘプバーンの映画だと思う人は多いだろう。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(CP-THT (IP-SUB (PP (NP (PRO これ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-PRD (PP (NP (NPR ヘプバーン))
(P の))
(N 映画))
(AX だ))
(P と))
(VB 思う))
(N 人))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADJI 多い)
(MD だろう)
(PU 。))
(ID 110_wikipedia_Audrey_Hepburn))
詳詳細は，9.4 節を参照。
動詞に助動詞「（ら）れる」を加えた動詞形は，直接受動，間接受動，尊敬の用法があるという点で曖昧である。 五段動詞と「来る」にこの助動詞を加えた場合は，直接受動，間接受動，尊敬のほかに自発と可能の用法ももつため，5通りに曖昧である。 以下ではそれらの用法の違いについて説明する。
多くの直接受動文では， NP-SBJ が述語（VB）の対象の役割をもち（能動文の NP-OB1 に対応する）， NP-LGS が主体の役割をもつ（能動文の NP-SBJ に対応する）。 つまり，「A-が B-に VB1（ら）れる」という文が真であれば， 「B-が A-を VB1」という文も真となる。
本アノテーション方式では，この用法の「（ら）れる」は PASS とラベル付けされ， 「NP に／から／によって」は NP-LGS（論理的主語）とラベル付けされる。
(527)
太郎は朝早く、友人に電話で起こされた。
( (IP-MAT (PP (NP;{TARO_415} (NPR 太郎))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-TMP (N 朝)
(N 早く))
(PU 、)
(PP (NP (N 友人))
(P に))
(NP-LGS *に*)
(PP (NP (N 電話))
(P で))
(VB 起こさ)
(PASS れ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 415_textbook_kisonihongo))
直接受動に関しては 30.7 における議論を参照。
間接受動は項の数を増やす構文であり，行為の影響を受ける者が NP-SBJ として付け加えられる。 同時に，埋め込まれた述部の主語は NP-OB1 に降格する。 埋め込まれた述部のその他の項はその位置と文法役割を保持し， IP-SMC の中に置かれる。 助動詞 (VB （ら）れる) は上位の節の主要部となる。
(528)
太郎が雨に降られた。
( (IP-MAT (PP (NP;{PERSON} (NPR 太郎))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (NP (N 雨))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(IP-SMC (VB 降ら))
(VB れ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1824_misc_JSeM_beta_150530))
(529)
鈴木さんは昨夜、一晩中子供に泣かれて困った。
( (IP-MAT (PP (NP;{SUZUKI_407} (NPR 鈴木さん))
(P は))
(NP-SBJ *)
(IP-ADV (NP-TMP (N 昨夜))
(PU 、)
(NP-MSR (NUMCLP (NUM 一)
(CL 晩))
(N 中))
(PP (NP (N 子供))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(IP-SMC (VB 泣か))
(VB れ)
(P て))
(CONJ *)
(VB 困っ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 407_textbook_kisonihongo))
所有者が NP-SBJ となり，所有物が NP-OB1 となるような受動文（持ち主の受身）を直接受動の一種と見なす立場がある。しかし，この分析によるほとんどの統語論上の議論には反証がある。 本アノテーションでは，「持ち主の受け身」は間接受動として扱われる。
(530)
太郎が泥棒に財布を盗まれた。
( (IP-MAT (PP (NP;{PERSON} (NPR 太郎))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (NP (N 泥棒))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(IP-SMC (PP (NP (N 財布))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 盗ま))
(VB れ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1812_misc_JSeM_beta_150530))
(531)
後にヘプバーンは、もし歌のほとんど全てを吹き替えられることが分かっていれば、あの役を引き受けることは決してなかったと語っている。
( (IP-MAT (PP (NP (N 後))
(P に))
(PP (NP (NPR ヘプバーン))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(CP-THT (IP-SUB (NP-SBJ *pro*)
(IP-ADV (ADVP (ADV もし))
(PP (NP (IP-EMB (NP-OB1 *pro*)
(IP-SMC (PP (NP (PP (NP (N 歌))
(P の))
(ADV ほとんど)
(Q 全て))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 吹き替え))
(VB られる))
(N こと))
(P が))
(NP-OB1 *が*)
(VB 分かっ)
(P て)
(VB2 いれ)
(P ば))
(CND *)
(PU 、)
(PP (NP (IP-EMB (PP (NP (D あの)
(N 役))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 引き受ける))
(N こと))
(P は))
(NP-OB1 *)
(ADVP (ADV 決して))
(ADJI なかっ)
(AXD た))
(P と))
(VB 語っ)
(P て)
(VB2 いる)
(PU 。))
(ID 192_wikipedia_Audrey_Hepburn))
つまり，NP-SBJ が被害を被るか否かということが，間接受動と判断する基準になるわけではない。 最も重要なのは，（「（ら）れる」の付かない元の能動構文と比べて）項が増えているかということである。 助詞「を」をとった NP-OB1 があるかどうかという点も判断基準とはならない。 「（ら）れる」の付かない動詞が三項動詞であり，NP-SBJ が元の能動構文における NP-OB2 に対応する場合は直接受動である。
「（ら）れる」の自発用法で主動詞となるのは，知覚，思考や感情を表すものに限られる。 この用法の「（ら）れる」は VB2 とラベル付けされる。
知覚や思考，感情の経験者を表す NP-SBJ（「に」「は」あるいは「には」によってマークされる）は元の動詞の論理的主語である。元の動詞の内項（NP-OB1）は「が」によってマークされるが，これは NP-OB1 と分析する。
(532)
私にはその話が不思議に思われた。
( (IP-MAT (PP (NP;{SPEAKER_373} (PRO 私))
(P に)
(P は))
(PP (NP;{STORY_373} (D その)
(N 話))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(IP-SMC (ADJN 不思議)
(AX に))
(VB 思わ)
(VB2 れ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 373_textbook_kisonihongo))
(533)
台所の隅に、その一升瓶があるばっかりに、この狭い家全体が、どろりと濁って、甘酸っぱい、へんな匂いさえ感じられ、なんだか、うしろ暗い思いなのである。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{DAZAI} *speaker*)
(PP (IP-ADV (PP (NP (PP (NP (N 台所))
(P の))
(N 隅))
(P に))
(PU 、)
(PP (NP;{DAZAI_LIQUOR_2_SHO} (D その)
(N 一升瓶))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB ある))
(P ばっかり)
(P に))
(PU 、)
(IP-ADV (PP (NP;{DAZAI_HOUSE} (D この)
(IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJI 狭い))
(N 家)
(QN 全体))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PU 、)
(PP (ADVP (ADV どろり))
(P と))
(VB 濁っ)
(P て))
(CONJ *)
(PU 、)
(IP-ADV (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJI 甘酸っぱい))
(PU 、)
(IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJN へん)
(AX な))
(N 匂い))
(P さえ))
(NP-OB1 *)
(VB 感じ)
(VB2 られ))
(PU 、)
(ADVP (ADV なんだか))
(PU 、)
(NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJI うしろ暗い))
(N 思い))
(AX な)
(P の)
(AX で)
(VB2 ある)
(PU 。))
(ID 69_aozora_Dazai-1-1940))
(534)
そういう事も今になって考えて見ると、甚だ奇怪に感じられるのである。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP (D そういう)
(N 事))
(P も))
(NP-OB1 *)
(PP (IP-ADV (NP-SBJ *speaker*)
(NP-OB1 *pro*)
(IP-ADV (NP-SBJ *exp*)
(PP (NP (N 今))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(VB なっ)
(P て))
(CONJ *)
(VB 考え)
(P て)
(VB2 見る))
(P と))
(SCON *)
(PU 、)
(IP-SMC (ADVP (ADV 甚だ))
(ADJN 奇怪)
(AX に))
(VB 感じ)
(VB2 られる)
(P の)
(AX で)
(VB2 ある)
(PU 。))
(ID 58_aozora_Edogawa-1929))
必須項への助詞のマーキングの点で，自発の構文は直接受動構文と同一である。 したがって，同じ形の述語が自発ではなく，直接受動を意味することもあるので注意が必要である。
(535)
太郎はみんなに陽気な人間だと思われている。
( (IP-MAT (PP (NP;{TARO_427} (NPR 太郎))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (Q みんな))
(P に))
(NP-LGS *に*)
(CP-THT (IP-SUB (NP-SBJ;{TARO_427} *pro*)
(NP-PRD (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJN 陽気)
(AX な))
(N 人間))
(AX だ))
(P と))
(VB 思わ)
(PASS れ)
(P て)
(VB2 いる)
(PU 。))
(ID 427_textbook_kisonihongo))
また，ここで取り上げたものの他に，自発または類似の意味を表す以下のような動詞が存在する。 いくつかは子音語幹から派生されたものであり，いくつかは自他対における非対格動詞である。
これらは独立した動詞（VB）としてラベル付けされる。
母音語幹と不規則動詞「来る」に「られる」を加えて作られる可能形，例えば「見られる」「食べられる」「来られる」は，直接受動，間接受動，自発，尊敬の形と同じである。母音語幹には「られる」ではなく「れる」を加えた「見れる」「食べれる」「来れる」という口語的な形もある。このような「られる」「れる」は VB2 とラベル付けされる。
子音動詞（五段動詞）の場合，「走れる」のように，可能形は語幹に e を付けて作られるが， このような可能形は全体としてひとつの VB として分析される。 方言によっては母音語幹から作られた「走られる」という語形が可能の意味でも使われる。 動詞「する」の可能形は補充法による「できる」である。 「できる」は動作名詞に続く場合，VB0 とラベル付けされる。
OB1 が助詞「を」をとる二項動詞の可能形では，必須項に対する助詞のマーキングのパターンは次の３つのうちのいずれかになる。
可能形を述語とする構文における主語の扱いは少々複雑である。 典型的な主語は生物，感覚をもつもの，人間であり， 例えば「一回目で自転車にうまく乗れないのは誰だって一緒だ」のような例では，主語を(NP-SBJ *arb*) とアノテーションすることが極めて自然である。 また，(536) のように，主語を文脈から補うことができる場合もある。
(536)
この山が登れない。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MAN_36} *pro*)
(PP (NP;{MOUNTAIN_36} (D この)
(N 山))
(P が))
(NP-OB1 *が*)
(VB 登れ)
(NEG ない)
(PU 。))
(ID 36_misc_EXAMPLE))
尊敬用法の「（ら）れる」は VB2 とラベル付けされる。 尊敬形を述語とする文では，元の動詞の必須文法役割とそのラベルが保持される。
(537)
鈴木先生はその問題を詳しく調べられた。
( (IP-MAT (PP (NP;{SUZUKI_1302} (NPR 鈴木先生))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP;{PROBLEM_1302} (D その)
(N 問題))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(ADVP (ADJI 詳しく))
(VB 調べ)
(VB2 られ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1302_textbook_kisonihongo))
「（ら）れる」からの派生ではない尊敬形については，9.1.2節を参照。
動詞やイ形容詞の非過去形・過去形，「ナ形容詞の語幹＋な／だった」，「名詞＋の／だった」に接続する証拠性（evidentiality），つまり，“It seems that...” の意味をもつ「よう（だ）」の「よう」は MD とラベル付けされる。
(538)
この事実から判断すると、あなたの見方は正しくないようだ。
( (IP-MAT (PP (IP-ADV (NP-SBJ;{MAN_221} *pro*)
(NP-OB1;{CONCLUSION_221} *pro*)
(PP (NP (D この)
(N 事実))
(P から))
(VB 判断)
(VB0 する))
(P と))
(CND *)
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP;{HEARER_221} (PRO あなた))
(P の))
(N 見方))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADJI 正しく)
(NEG ない)
(MD よう)
(AX だ)
(PU 。))
(ID 221_textbook_kisonihongo))
ただし，直喩的な表現の「よう（だ）」の場合，「よう」は埋め込み節（IP-EMB）をとる N として扱う。
(539)
頬冠りに尻端折り、草履は懐中へ忍ばせたものか、そこだけピクリと脹れているのが蛇が蛙を呑んだようだ。
( (IP-MAT (NP-ADV (CONJP (NP (N 頬冠り))
(P に))
(NP (N 尻端折り)))
(PU 、)
(PP (NP (IP-EMB (PP (NP (IP-EMB (NP-SBJ *pro*)
(PP (NP (N 草履))
(P は))
(NP-OB1 *)
(PP (NP (N 懐中))
(P へ))
(VB 忍ばせ)
(AXD た))
(N もの))
(P か))
(NP-ADV *)
(PU 、)
(PP (NP (PRO そこ))
(P だけ))
(NP-SBJ *)
(PP (ADVP (ADV ピクリ))
(P と))
(VB 脹れ)
(P て)
(VB2 いる))
(N の))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(NP-PRD (IP-EMB (PP (NP (N 蛇))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (NP (N 蛙))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 呑ん)
(AXD だ))
(N よう))
(AX だ)
(PU 。))
(ID 60_aozora_Kunieda-1925))
また，証拠性の「よう（だ）」であっても，「名詞＋の」に続く場合は「よう」を N とする。
(540)
太郎はまだ子供のようだ。
( (IP-MAT (PP (NP;{TARO_62} (NPR 太郎))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADVP (ADV まだ))
(NP-PRD (PP (NP (N 子供))
(P の))
(N よう))
(AX だ)
(PU 。))
(ID 62_textbook_kisonihongo))
(541)
このようなことを知っている人は、もはやいない。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD;{FACT_111} (D この)
(N よう))
(AX な))
(N こと))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 知っ)
(P て)
(VB2 いる))
(N 人))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(ADVP (ADV もはや))
(VB い)
(NEG ない)
(PU 。))
(ID 111_textbook_kisonihongo))
埋め込み節をとる「よう（な）」の場合も，「よう」を N とする。
(542)
あいつは俺に感謝するどころか、おれの顔に泥をぬるようなことばかりしてくれる。
( (IP-MAT (PP (NP;{MAN_1197} (PRO あいつ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (IP-ADV (PP (NP;{SPEAKER_1197} (PRO 俺))
(P に))
(VB 感謝)
(VB0 する))
(P どころか))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(NP-PRD (IP-EMB (NP-SBJ;{MAN_1197} *pro*)
(PP (NP (PP (NP;{SPEAKER_1197} (PRO おれ))
(P の))
(N 顔))
(P に))
(PP (NP (N 泥))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB ぬる))
(N よう))
(AX な))
(N こと))
(P ばかり))
(NP-OB1 *)
(VB し)
(P て)
(VB2 くれる)
(PU 。))
(ID 1197_textbook_kisonihongo))
様態副詞として機能する構造を導く「ように」では，「よう」を N とし，これを主要部とする NP が助詞「に」を主要部とする PP の下に置かれる。
(543)
人前ではよく聞こえるように話すものだ。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MAN_65} *pro*)
(PP (NP (N 人前))
(P で)
(P は))
(PP (NP (IP-EMB (ADVP (ADV よく))
(VB 聞こえる))
(N よう))
(P に))
(VB 話す)
(MD もの)
(AX だ)
(PU 。))
(ID 65_textbook_kisonihongo))
(544)
歩道を歩くようにして下さい。
( (IP-IMP (NP-SBJ *hearer*)
(PP (NP (IP-EMB (PP (NP (N 歩道))
(P を))
(VB 歩く))
(N よう))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(VB し)
(P て)
(VB2 下さい)
(PU 。))
(ID 193_textbook_kisonihongo))
(545)
最近、やっと納豆がおいしく食べられるようになった。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MAN_350} *pro*)
(NP-TMP (N 最近))
(PU 、)
(PP (NP (IP-EMB (ADVP (ADV やっと))
(PP (NP (N 納豆))
(P が))
(NP-OB1 *が*)
(ADVP (ADJI おいしく))
(VB 食べ)
(VB2 られる))
(N よう))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(VB なっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 350_textbook_kisonihongo))
(546)
部長は鈴木さんにすぐ帰るように命じた。
( (IP-MAT (PP (NP (N 部長))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP;{SUZUKI_1079} (NPR 鈴木さん))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(PP (NP (IP-EMB (ADVP (ADV すぐ))
(VB 帰る))
(N よう))
(P に))
(VB 命じ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1079_textbook_kisonihongo))
知覚動詞の補部となる場合，「ように」の「よう」は N，「に」は IP-SMC を作る AX とする。
(547)
黒い天井に差す丸行灯の丸い影が、仰向く途端に生きてるように見えた。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJI 黒い))
(N 天井))
(P に))
(VB 差す))
(PP (NP (N 丸行灯))
(P の))
(IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJI 丸い))
(N 影))
(P が))
(NP-OB1 *が*)
(PU 、)
(PP (NP (IP-EMB (VB 仰向く))
(N 途端))
(P に))
(IP-SMC (NP-PRD (IP-EMB (VB 生き)
(VB2 てる))
(N よう))
(AX に))
(VB 見え)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 86_aozora_Natsume-1908))
等位節における非最終節に現れる場合，「ようで」の「よう」は証拠性を表す MD とラベル付けされる。
(494)
私は先生の部屋に行ったが、入れ違ったようで会えなかった．
( (IP-MAT (PP (NP (PRO 私))
(P は))
(NP-SBJ *)
(IP-ADV (PP (IP-ADV (PP (NP (PP (NP (N 先生))
(P の))
(N 部屋))
(P に))
(VB;{行く} 行っ)
(AXD た))
(P が))
(CONJ *)
(PU 、)
(VB;{入れ違う.01} 入れ違っ)
(AXD た)
(MD よう)
(AX で))
(CONJ *)
(VB;{会う} 会え)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU ．))
(ID 191_dictionary_vv-lexicon_20150226))