Section 8 | ||
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助詞のタグは P である。助詞は,典型的には名詞句や節に付加され,さまざまな機能を果たす。本アノテーションの目的から,助詞は以下の10種類に分類される。
同一の音形をもつ助詞が同一のグループの中で複数の機能または役割を果たすことがある。例えば,主要文法役割を表示する助詞の中では,「に」は SBJ, SBJ2, LGS, OB1, および OB2 を示すことができる。また,同一の音形をもつ助詞が複数のグループに現れることがある。例えば,「と」は主要文法役割を示す格助詞,任意文法役割を示す格助詞,曖昧性解消のために CND をラベル付けされた PP の接続助詞,および complementizer 助詞のいずれのグループにも現れる。さらに,同一のグループに属し同一の機能を果たす1つの助詞が複数の音形をもつこともある。例えば,節の構成素としての助詞に含まれる「の」は異形態として「ん」をもつ。
「格助詞」という用語は,主要文法役割か任意文法役割を担う助詞という意味で用いることにする。 「格」はここでは,特定の文法カテゴリーを示す用語ではない。
主要文法役割を表示する格助詞には「が」「を」「に」「の」「と」「で」「から」等がある。これらは NP-SBJ,NP-OB1,NP-OB2 を表示する。しかし,主要文法役割と助詞の間に一対一の対応関係があるわけではない。そのため,アノテーションには曖昧性解消のための情報が付け加えられる。例えば,「が」を伴う助詞句(PP)の直後にその姉妹として (NP-SBJ *が*) を付加し,その PP が主語の主要文法役割をもつことを示す。
(48)
それが私に何とやら奇妙な感じを与えたのである。
( (IP-MAT (PP (NP (PRO それ))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (NP (PRO 私))
(P に))
(NP-OB2 *に*)
(ADVP (ADV 何とやら))
(PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJN 奇妙)
(AX な))
(N 感じ))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 与え)
(AXD た)
(P の)
(AX で)
(VB2 ある)
(PU 。))
(ID 39_aozora_Edogawa-1929))
(49)
懸物が見える。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP (N 懸物))
(P が))
(NP-OB1 *が*)
(VB 見える)
(PU 。))
(ID 120_aozora_Natsume-1908))
(50)
象は鼻が長い。
( (IP-MAT (PP (NP (N 象))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (N 鼻))
(P が))
(NP-SBJ2 *が*)
(ADJI 長い)
(PU 。))
(ID 3_misc_EXAMPLE))
(51)
その手にさわった革財布。
( (FRAG (NP-ADV (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(PP (NP (D その)
(N 手))
(P に))
(NP-OB1 *に*)
(VB さわっ)
(AXD た))
(N 革財布))
(PU 。))
(ID 47_aozora_Kunieda-1925))
(52)
そこで彼らは、もう一度この盲人に聞いた、
( (IP-MAT (NP-OB1 *pro*)
(CONJ そこで)
(PP (NP (PRO 彼ら))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(NP-MSR (ADV もう)
(NUMCLP (NUM 一)
(CL 度)))
(PP (NP (D この)
(N 盲人))
(P に))
(VB 聞い)
(AXD た)
(PU 、))
(ID 784_bible_new))
(53)
私の知らぬお名前であった。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{INDUSTRY_POST_SAMPLE_SENDER} *pro*)
(NP-PRD (IP-REL (NP-OB1 *T*)
(PP (NP;{DAZAI} (PRO 私))
(P の))
(NP-SBJ *の*)
(VB 知ら)
(NEG ぬ))
(N お名前))
(AX で)
(VB2 あっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 17_aozora_Dazai-1-1940))
主語(SBJ)は「が」以外の格助詞によって表示されることもある。また,第一目的語(OB1)も「を」以外の格助詞により表示されることがある(7.1.1 節を参照のこと)。
「に」が表示する主要文法役割と任意文法役割の違い,言い換えれば OB1 や OB2 としての機能と付加詞としての機能とは区別しがたいことがある。同一の動詞であっても,「当たる」のように「に」によって表示された NP-OB1 を伴うこと((例えば,「役目に当たった」)もあるし,伴わないこと(例えば,「宝くじが当たった」)もある。
任意文法役割の表示に使われる格助詞は,それがマークする NP と述語の間の関係について,曖昧性のない情報をもたらす。このような場合には,曖昧性の解消を行う必要はない。以下では,「の」「に」「へ」「で」「から」「まで」「と」のアノテーションについて説明する。
(54)
日本語の勉強の時間
( (FRAG (NP (PP (NP (PP (NP (N 日本語))
(P の))
(N 勉強))
(P の))
(N 時間)))
(ID 4_misc_EXAMPLE))
(55)
3時にここに来い。
( (IP-IMP (NP-SBJ *hearer*)
(PP (NP (NUMCLP (NUM 3)
(CL 時)))
(P に))
(PP (NP;{CURRENT_PLACE_534} (PRO ここ))
(P に))
(VB 来い)
(PU 。))
(ID 534_textbook_kisonihongo))
(56)
次の日、ツバメは波止場へ行きました。
( (IP-MAT (NP-TMP (PP (NP (N 次))
(P の))
(N 日))
(PU 、)
(PP (NP (N ツバメ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (N 波止場))
(P へ))
(VB 行き)
(AX まし)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 205_aozora_Yuki-1-2000))
(57)
爺さんは酒の加減でなかなか赤くなっている。
( (IP-MAT (PP (NP (N 爺さん))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (PP (NP (N 酒))
(P の))
(N 加減))
(P で))
(ADVP (ADV なかなか))
(ADJI 赤く)
(VB2 なっ)
(P て)
(VB2 いる)
(PU 。))
(ID 233_aozora_Natsume-1908))
(58)
ITELは1988年から1992年までAPCOMを所有していた。
( (IP-MAT (PP (NP;{ORG} (NPR ITEL))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (NUMCLP (NUM 1988)
(CL 年)))
(P から))
(PP (NP (NUMCLP (NUM 1992)
(CL 年)))
(P まで))
(PP (NP;{ORG} (NPR APCOM))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 所有)
(VB0 し)
(P て)
(VB2 い)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1778_misc_JSeM_beta_150530))
(59)
だって彼女はいつも風といちゃついてるんだから」
( (CP-FINAL (IP-SUB (CONJ だって)
(PP (NP (PRO 彼女))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADVP (ADV いつも))
(PP (NP (N 風))
(P と))
(VB いちゃつい)
(VB2 てる)
(P ん)
(AX だ))
(P から)
(-RRB- 」))
(ID 37_aozora_Yuki-1-2000))
(60)
私たちはショッピングセンターをぶらぶら歩いた。
( (IP-MAT (PP (NP (PRO 私たち))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (N ショッピングセンター))
(P を))
(ADVP (ADV ぶらぶら))
(VB 歩い)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 188_textbook_TANAKA))
いくつかの単語が連語となって単一の P としての機能を果たす場合には,独立した複合助詞 P としてラベル付けされる。これらの複合助詞の多くは,BCCWJ および CSJ の解析に従ってチャンキングを行ったものである。むろん,それらの中には1つまたはそれ以上の構成要素が語彙素として機能していることがありうる。そのような場合,単位分割の修正は手で行う必要がある。以下に挙げるのは,複合助詞のリストである。全部で70以上と,かなり多い。
例えば,複合助詞「によって」は,受動文における論理的主語 LGS を示すのに用いられる。
(61)
このデザイン画は平山によって渡邊専務にもたらされた。
( (IP-MAT (PP (NP;{DESIGN} (D この)
(N デザイン画))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (NPR 平山))
(P によって))
(NP-LGS *によって*)
(PP (NP (NPR 渡邊専務))
(P に))
(VB もたらさ)
(PASS れ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 60_wikipedia_Kamen_Rider))
次の例では,複合助詞「について」が任意文法役割を示している。
(62)
モーセは、わたしについて書いたのである。
( (IP-MAT (NP-OB1 *pro*)
(PP (NP (NPR モーセ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(PP (NP (PRO わたし))
(P について))
(VB 書い)
(AXD た)
(P の)
(AX で)
(VB2 ある)
(PU 。))
(ID 389_bible_new))
ただし,次のような例では,「について」は複合助詞ではなく,動詞を含む語列として分析される。
(63)
彼は新しい仕事について、まるで生き返ったようだ.
( (IP-MAT (PP (NP (PRO 彼))
(P は))
(NP-SBJ *)
(IP-ADV (PP (NP (IP-REL (NP-SBJ *T*)
(ADJI 新しい))
(N 仕事))
(P に))
(VB;{就く} つい)
(P て))
(CONJ *)
(PU 、)
(ADVP (ADV まるで))
(VB;{生き返る.01} 生き返っ)
(AXD た)
(MD よう)
(AX だ)
(PU .))
(ID 134_dictionary_vv-lexicon_20150226))
「について」が複合助詞なのか動詞を含む語列なのかという違いは,「つく」という語の表す意味がまったく違うということから判断することができる。
「につれて」は (64) では複合助詞として,(65) では助詞と動詞の連続として分析される。複合助詞の「につれて」はほぼすべての場合に述語に後続するため,この違いの判断は難しくはない。
(64)
経済が発展するにつれて、社会の矛盾も拡大してきた。
( (IP-MAT (PP (IP-ADV (PP (NP (N 経済))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 発展)
(VB0 する))
(P につれて))
(SCON *)
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP (N 社会))
(P の))
(N 矛盾))
(P も))
(NP-SBJ *)
(VB 拡大)
(VB0 し)
(P て)
(VB2 き)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1196_textbook_kisonihongo))
(65)
ディズニーランドに連れて行かれました。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MAN_43} *pro*)
(PP (NP (N ディズニーランド))
(P に))
(VB 連れ)
(P て)
(VB2 行か)
(VB2 れ)
(AX まし)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 43_misc_EXAMPLE))
複合助詞「にむけ(て・た)」についてはより判断が難しい。 以下の (66) のように, 複合助詞「にむけ(て・た)」と判断できる場合,この中の「むけ(向け)」は(主語以外に)項を1つしかとらないが,VB の「むけ(向け)」は,項を2つとるという点が判断の基準になる。
(66)
「国際交渉に向け日本政府の意思表示が必要だ」と国が早期に誘致を決断するよう訴えた。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{EVANS} *pro*)
(CP-THT (IP-SUB (-LRB- 「)
(NP-SBJ;{CORPORATION} *pro*)
(PP (NP (N 国際交渉))
(P に向け))
(PP (NP (PP (NP (N 日本政府))
(P の))
(N 意思表示))
(P が))
(NP-SBJ2 *が*)
(ADJN 必要)
(AX だ)
(-RRB- 」))
(P と))
(NP-ADV (IP-EMB (PP (NP (N 国))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (NP (N 早期))
(P に))
(PP (NP (N 誘致))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 決断)
(VB0 する))
(N よう))
(VB 訴え)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 19_newswire_KAHOKU_00089_K201401040A0F70XX00001))
同一または類似したタイプの句を並べ,様々な構造を作る。IP の場合,組み合わせには従属接続と等位接続があり,また同一の主名詞を修飾する関係節が並列される場合や,2つの関係節がスタックされる場合 (22 節を参照)がある。 IP を従属接続する助詞については 8.5.1 節および 8.5.2 節で説明する。 構成素を結合して等位構造を作る助詞には2通りがある。 1つめは IP の等位接続であるが,これについては 8.5.3 節を参照されたい。 等位節とは対照的に,2つめの,複数の NP や PP や ADVP を並べて等位構造を作る助詞は CONJP の主要部となる。 NP や PP や ADVP の等位接続を「非節的要素の等位接続」と呼ぶことにする。 非節的要素の等位接続は接続助詞(P)や並列接続詞(CONJ)の助けが無くとも生じうるが,助詞や接続詞が使われることが多い。 そのような接続助詞および並列接続詞のリストは以下のとおりである。
CONJP に支配される文脈の下で P と CONJ とを区別することはさほど重要なことではない。 アノテーターは自動形態素解析の結果に従っていればよく,該当の文脈では品詞変更を考慮する必要は無い。
非節的要素の等位接続構造全体のアノテーション方法の詳細は,28節を参照されたい。
(67)
鈴木さんと高津さんが協議した。
( (IP-MAT (PP (NP (CONJP (NP;{SUZUKI_317} (NPR 鈴木さん))
(P と))
(NP;{SUZUKI_317} (NPR 高津さん)))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 協議)
(VB0 し)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 317_textbook_kisonihongo))
(68)
スミスかジョーンズかアンダーソンが契約書にサインした。
( (IP-MAT (PP (NP (CONJP (NP (NPR スミス))
(P か))
(CONJP (NP (NPR ジョーンズ))
(P か))
(NP (NPR アンダーソン)))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (NP (N 契約書))
(P に))
(VB サイン)
(VB0 し)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 964_misc_JSeM_beta_150530))
(69)
机や椅子を並べて下さい。
( (IP-IMP (NP-SBJ *hearer*)
(PP (NP (CONJP (NP (N 机))
(P や))
(NP (N 椅子)))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 並べ)
(P て)
(VB2 下さい)
(PU 。))
(ID 894_textbook_kisonihongo))
(70)
捕り方衆の叫び声があっちからもこっちからも聞こえて来る。
( (IP-MAT (PP (NP (PP (NP (N 捕り方衆))
(P の))
(N 叫び声))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (CONJP (PP (NP (PRO あっち))
(P から))
(P も))
(PP (NP (PRO こっち))
(P から))
(P も))
(VB 聞こえ)
(P て)
(VB2 来る)
(PU 。))
(ID 5_aozora_Kunieda-1925))
接続助詞(P)は節連結の環境において副詞節(IP-ADV)の補部となり,助詞句(PP)を投射する。 PP の後には曖昧性解消のために,それが従属節であれば CND,SCON のいずれかが,等位節であれば CONJ が置かれる。 IP-ADV については 25 節を, IP-ADV に付随するコントロール関係に関する議論については 26.2 節を, 従属節と等位節の区別については 27.1 節を参照。
IP-ADV を子とする PP が従属節であり,また条件を表すとき,PP の直後には曖昧性解消のための (CND *) が置かれる。 この PP は上位の IP の述語の姉妹となり,それを修飾する。 条件を表す従属節に用いられる接続助詞には次のようなものがある:
(71)
だって携帯の会社変えたらアドレスとか全部変わるもんね。
( (CP-FINAL (IP-SUB (CONJ だって)
(PP (IP-ADV (NP-SBJ *arb*)
(NP-OB1 (PP (NP (N 携帯))
(P の))
(N 会社))
(VB 変え))
(P たら))
(CND *)
(PP (NP (N アドレス))
(P とか))
(NP-SBJ *)
(NP;*SBJ* (Q 全部))
(VB 変わる))
(P もん)
(P ね)
(PU 。))
(ID 8_blog_KNB_05_005_Keitai))
(72)
まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(IP-ADV (ADVP (ADJN まっすぐ)
(AX に))
(PP (NP (N 王城))
(P に))
(VB 行き着け)
(P ば))
(CND *)
(PU 、)
(PP (NP (PRO それ))
(P で))
(ADJI よい)
(P の)
(AX だ)
(PU 。))
(ID 198_aozora_Dazai-2-1940))
(73)
試験があまり難しいと、合格者は出ないだろう。
( (IP-MAT (PP (IP-ADV (PP (NP (N 試験))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(ADVP (ADV あまり))
(ADJI 難しい))
(P と))
(CND *)
(PU 、)
(PP (NP (N 合格者))
(P は))
(NP-SBJ *)
(VB 出)
(NEG ない)
(MD だろう)
(PU 。))
(ID 100_textbook_kisonihongo))
(74)
ビールはよく冷えていても飲みたくない。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{SPEAKER_26} *speaker*)
(PP (NP (N ビール))
(P は))
(NP-OB1 *)
(PP (IP-ADV (ADVP (ADV よく))
(VB 冷え)
(P て)
(VB2 い)
(P て))
(P も))
(CND *)
(VB 飲み)
(AX たく)
(NEG ない)
(PU 。))
(ID 26_misc_EXAMPLE))
上記リストに挙げた接続助詞は,上記のような CND を直後に置くべき用法のほかに,SCON を直後に置くべき用法,さらに 接続助詞ではない助詞としての用法もあることに注意されたい。 例えば,(75) の「たら」の導く節は従属節ではあるが(主節の主語代名詞を補ってみると,「たら節」の前にも後にも置くことができる),条件を表しているわけではない。
(75)
奇体だと思っていましたら、また腹かけから何か出しました。
( (IP-MAT (NP-SBJ *pro*)
(PP (IP-ADV (NP-SBJ *pro*)
(CP-THT (IP-SUB (NP-SBJ *pro*)
(ADJN 奇体)
(AX だ))
(P と))
(VB 思っ)
(P て)
(VB2 い)
(AX まし))
(P たら))
(SCON *)
(PU 、)
(ADVP (ADV また))
(PP (NP (N 腹かけ))
(P から))
(NP-OB1 (WPRO 何)
(P か))
(VB 出し)
(AX まし)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 162_aozora_Miyazawa-1934_d))
「ば」「と」など他の助詞も条件を表さない場合がある。以下は「ば」の導く節が等位節の例である。
(76)
漆も塗ってなければ磨きもかけてない。
( (IP-MAT (NP-SBJ *arg*)
(NP-OB2 *pro*)
(IP-ADV (PP (NP (N 漆))
(P も))
(NP-OB1 *)
(VB 塗っ)
(VB2 て)
(NEG なけれ)
(P ば))
(CONJ *)
(PP (NP (N 磨き))
(P も))
(NP-OB1 *)
(VB かけ)
(VB2 て)
(NEG ない)
(PU 。))
(ID 291_aozora_Natsume-1908))
条件を表す従属節以外にも,従属節は譲歩,逆説,目的,原因,根拠,理由,付加,選択肢,時間的関係,同時,先行など多様な意味を表す。 このような従属節が接続助詞を伴う場合,PP の直後には曖昧性解消のために (SCON *) が置かれる。 条件を表す従属節のときと同様に,この PP は上位の IP の述語の姉妹となり,それを修飾する。 IP-ADV に付随するコントール関係に関する議論は,26.2 節を参照のこと。
条件以外の意味をもつ従属節に現れる助詞には次のようなものがある。中には複合的な助詞も見られる。
(77)
この論文は2度読んでみたけれども、理解できなかった。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP;{PAPER_1171} (D この)
(N 論文))
(P は))
(NP-OB1 *)
(PP (IP-ADV (NP-SBJ *speaker*)
(NP-OB1;{PAPER_1171} *pro*)
(NP-MSR (NUMCLP (NUM 2)
(CL 度)))
(VB 読ん)
(P で)
(VB2 み)
(AXD た))
(P けれども))
(SCON *)
(PU 、)
(VB 理解)
(VB0 でき)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1171_textbook_kisonihongo))
(78)
用事がありますから、失礼します。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(PP (IP-ADV (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP (N 用事))
(P が))
(NP-OB1 *が*)
(VB あり)
(AX ます))
(P から))
(SCON *)
(PU 、)
(VB 失礼)
(VB0 し)
(AX ます)
(PU 。))
(ID 1134_textbook_kisonihongo))
(79)
毎朝ご飯を食べてから,コーヒーを飲みます。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{SPEAKER_5} *speaker*)
(NP-TMP (QN 毎朝))
(PP (IP-ADV (PP (NP (N ご飯))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 食べ)
(P て))
(P から))
(SCON *)
(PU ,)
(PP (NP (N コーヒー))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 飲み)
(AX ます)
(PU 。))
(ID 5_misc_EXAMPLE))
(80)
この薬はにがくないので,飲みやすいです。
( (IP-MAT (NP-SBJ;{MAN_6} *pro*)
(PP (IP-ADV (PP (NP;{DRUG_6} (D この)
(N 薬))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADJI にがく)
(NEG ない))
(P ので))
(SCON *)
(PU ,)
(NP-OB1;{DRUG_6} *pro*)
(VB 飲み)
(AX やすい)
(AX です)
(PU 。))
(ID 6_misc_EXAMPLE))
節連結のもう1つのタイプに, IP の等位接続がある。 (後ろの節に対する)等位節の直後に明示的な並列接続詞(CONJ)が現れていない場合は,曖昧性解消のために (CONJ *) を置くことにする。 2つ以上の等位節があるときには,従属節のときとは構造を幾分異にし, 等位節はそれぞれ直後の節の下に置かれるものとする。 しかしながら,意味解釈においては等位節はすべて同一の構造的レベルに存在するものとして扱われる。 この構文における,同一指示となる先行詞に課される条件については 27節を参照のこと。
等位節に現れる助詞には次のようなものがある。
等位節を導く助詞と従属節を導く助詞には重複がある。 等位節にしか使われない接続助詞はわずかしかない。 ある節が後続の節から独立し,埋め込まれていないかどうかということは, 文全体の意味によって, さらにコントロールされる要素(それが空であるとして)に対する先行詞の同一指示の条件が同一かどうかによって決定される。 下の例では,最初の節の終末部分に助詞「が」が現れている。 両方の節の主語項が同一の先行詞(ここでは,最左端の束縛位置のゼロ代名詞)を取ることに注意。
(81)
前回は民主党の推薦を受け大勝したが、今回は市民党の立場で戦う。
( (IP-MAT (NP-SBJ *pro*)
(PP (IP-ADV (PP (NP (N 前回))
(P は))
(NP-TMP *)
(IP-ADV (PP (NP (PP (NP;{ORG} (NPR 民主党))
(P の))
(N 推薦))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 受け))
(CONJ *)
(VB 大勝)
(VB0 し)
(AXD た))
(P が))
(CONJ *)
(PU 、)
(PP (NP (N 今回))
(P は))
(NP-TMP *)
(PP (NP (PP (NP (N 市民党))
(P の))
(N 立場))
(P で))
(VB 戦う)
(PU 。))
(ID 135_newswire_KAHOKU_00028_K201401010A0F30XX00001))
言語,思考,表現,および感覚の内容は,完全な文,間投詞,断片など,様々な形で表すことができる。 「と」や「という」のような助詞がそのような内容を述語や名詞の補部として節の形で導入する場合,補部節(CP-THT)の句カテゴリーを投射する。
述語に対する補部節を導く動詞は以下のとおりである。
「と」が動詞「言う」の補部節を導く例:
(82)
ジョンは、ビルが自分を傷つけたと言った。
( (IP-MAT (PP (NP (NPR ジョン))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(CP-THT (IP-SUB (PP (NP (NPR ビル))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP (NP (PRO 自分))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 傷つけ)
(AXD た))
(P と))
(VB 言っ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1151_misc_JSeM_beta_150530))
名詞に対する補部節を導く助詞のリストは以下のとおりである。
以下は,「という」が名詞「意味」に対する補部節を導く例である:
(83)
ギリシャ語の忘我(エクスタシー)は何かの横に立つという意味です
( (IP-MAT (PP (NP (PP (NP (N ギリシャ語))
(P の))
(N 忘我)
(PRN (-LRB- ()
(NP (N エクスタシー))
(-RRB- ))))
(P は))
(NP-SBJ *)
(NP-PRD (CP-THT (IP-SUB (NP-SBJ *arb*)
(PP (NP (PP (NP (WPRO 何)
(P か))
(P の))
(N 横))
(P に))
(VB 立つ))
(P という))
(N 意味))
(AX です))
(ID 35_translated_TED_3-MihalyCsikszentmihalyi_2004))
「という」や「との」のような複合助詞は,疑問節を名詞修飾節として導く。
(84)
こんなことを続けてもいいのかという疑問が絶えず私を苦しめた。
( (IP-MAT (PP (NP (PP (CP-QUE (IP-SUB (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP;{ACTIVITY_1211} (D こんな)
(N こと))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 続け)
(MD てもいい)
(P の))
(P か))
(P という))
(N 疑問))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(ADVP (ADV 絶えず))
(PP (NP;{SPEAKER_1211} (PRO 私))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 苦しめ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 1211_textbook_kisonihongo))
ただし,「という」「って」などの助詞が節ではなく名詞句につく場合は,CP ではなく PP を投射する。
(85)
晩年の政宗は、『酔余口号』という漢詩を残している。
( (IP-MAT (PP (NP (PP (NP (N 晩年))
(P の))
(NPR;{MASAMUNE} 政宗))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP (-LRB- 『)
(NPR 酔余口号)
(-RRB- 』))
(P という))
(N 漢詩))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 残し)
(P て)
(VB2 いる)
(PU 。))
(ID 194_wikipedia_Datemasamune))
このような名詞修飾では,普通名詞の指示対象の中の一部が,補部の表す「名前」によって指定される。 この種の「名前」が名詞に対する補部となる構造は,終端記号の音形をのぞけば,PPが名詞に対する補部となる他の構造と変わるところがない。
主節の終末部に現れる助詞は,叙述よりも発話行為に関係するものである。 このような終助詞を,それに先行する述部と区別するために,準主節(IP-SUB)を補部として取る CP 投射の主要部としてラベル付けする。 CP のタイプは,終助詞が現れる文のタイプに応じて,CP-QUE(疑問節),CP-EXL(感嘆節),または CP-FINAL(終助詞節 -- 疑問節でも感嘆節でもないもの)のいずれかとされる。
(86)
「この船は西へ行くんですか」
( (CP-QUE (-LRB- 「)
(IP-SUB (PP (NP (D この)
(N 船))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (N 西))
(P へ))
(VB 行く)
(P ん)
(AX です))
(P か)
(-RRB- 」))
(ID 403_aozora_Natsume-1908))
(87)
なんとガムのおまけだったのだよ。
( (CP-EXL (IP-SUB (NP-SBJ *pro*)
(ADVP (ADV なんと))
(NP-PRD (PP (NP (N ガム))
(P の))
(N おまけ))
(AX だっ)
(AXD た)
(P の)
(AX だ))
(P よ)
(PU 。))
(ID 869_textbook_TANAKA))
(88)
それは残念ですね。
( (CP-FINAL (IP-SUB (PP (NP (PRO それ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADJN 残念)
(AX です))
(P ね)
(PU 。))
(ID 163_aozora_Edogawa-1929))
複数の終助詞が現れる文では,すべての終助詞が同じ CP のもとフラットに現れる。
(89)
「それはまた、どうしてかね?
( (CP-QUE (-LRB- 「)
(IP-SUB (PP (NP (PRO それ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADVP (ADV また))
(PU 、)
(ADVP (WADV どうして)))
(P か)
(P ね)
(PU ?))
(ID 163_aozora_Hayashida-2015))
IP に直接支配される助詞(て,ん,の,は,も,等)は,述語,助動詞,モーダル助動詞や単純な間投詞とともに節構成素のクラスに属する。 一例として助詞「て」は副詞節(IP-ADV)の述部の終末部に現れることが多い。 助詞「て」はまた,補助動詞「いる,ある,おく,しまう,みる,みせる,あげる,くれる,やる,くださる,いく,くる,いらっしゃる,まいる,お出で,ご覧,頂戴」等とともに現れることができる。 これらの構成素は IP に直接支配される。
(90)
あいつはきっとデートをしているんだ。
( (IP-MAT (PP (NP;{TANAKA_654} (PRO あいつ))
(P は))
(NP-SBJ *)
(ADVP (ADV きっと))
(PP (NP (N デート))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB し)
(P て)
(VB2 いる)
(P ん)
(AX だ)
(PU 。))
(ID 655_textbook_kisonihongo))
助詞「たり」も「て」と同様に,IP に直接支配される。「たり」は通常,等位節の前件において述部の終末部に現れ,さらに後件では動詞語幹に「たり」が続いたのちに (VB2 する))あるいはそれに相当する尊敬形や可能形が続く。
(91)
うちのスタッフが殴られたり、罵倒されたりすることもあります。
( (IP-MAT (PP (NP (IP-EMB (PP (NP (PP (NP (N うち))
(P の))
(N スタッフ))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(IP-ADV (VB 殴ら)
(PASS れ)
(P たり))
(CONJ *)
(PU 、)
(VB 罵倒)
(VB0 さ)
(PASS れ)
(P たり)
(VB2 する))
(N こと))
(P も))
(NP-SBJ *)
(VB あり)
(AX ます)
(PU 。))
(ID 101_newswire_KAHOKU_00037_K201403080A0T10XX00001))
同様に,文末の「のだ」を構成する助詞「の」も動詞等の文構成素と同レベルに位置し,直接 IP に支配される。これは,助詞「の」が節を埋め込むとした場合,そのスコープを客観的基準によって決定することが困難なためである。IP の下で,(P は) は NEG と共起して現れることが多い。また,上記の助詞「て」やコピュラ「だ」(「のだ」としての用法を含む)の連用形「で」の直後等,述語部分の内部にはとりたて助詞(次節参照),「は,も,しか,さえ」等が生起することが出来る。これらもまた,IP に直接支配されるものとする。
(92)
田中が会いに来たのではない。
( (IP-MAT (PP (NP;{TANAKA_730} (NPR 田中))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(PP-PRP (IP-ADV (VB 会い))
(P に))
(VB 来)
(AXD た)
(P の)
(AX で)
(P は)
(NEG ない)
(PU 。))
(ID 730_textbook_kisonihongo))
とりたて助詞はおおよそ構成素を談話領域に関係づける働きをする。例えば,「は」は談話の中でトピックとされるものか,または談話中の他のものと対比される要素を表示する。「も」は肯定文では談話に付け加えられるものを表示する。このグループの助詞は文法役割に関する情報を提供しないので,文法役割情報を表す助詞を伴うか,もしくは文法役割に関する曖昧性解消情報を併記される必要がある。後者の場合,曖昧性解消情報は * のみの終端記号を伴う機能情報によって表され,意味解析処理においてその直前のとりたて助詞句と統合される。
このグループに含まれる助詞は以下の通りである:
以下は,格助詞「と」と共起したとりたて助詞「も」の例である。ここでは,「も」は疑問代名詞「何」と呼応し,否定のスコープに含まれる。
(93)
子供は何とも云わなかった。
( (IP-MAT (PP (NP (N 子供))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (WPRO 何))
(P と)
(P も))
(NP-OB1 *)
(VB 云わ)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 534_aozora_Natsume-1908))
以下は時間を表す曖昧性解消情報と共起するとりたて助詞「は」の例である。
(94)
その時は母も笑った。
( (IP-MAT (PP (NP (D その)
(N 時))
(P は))
(NP-TMP *)
(PP (NP (N 母))
(P も))
(NP-SBJ *)
(VB 笑っ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 537_aozora_Natsume-1908))
以下の例では,とりたて助詞「は」は主語の曖昧性解消情報を伴い,また,とりたて助詞「しか」は NP-OB1 の曖昧性解消情報を伴っている。
(95)
解決策は当事者しか導き出せない。
( (IP-MAT (PP (NP (N 解決策))
(P は))
(NP-OB1 *)
(PP (NP (N 当事者))
(P しか))
(NP-SBJ *)
(VB 導き出せ)
(NEG ない)
(PU 。))
(ID 86_newswire_KAHOKU_00065_K201403060A0T10XX00001))
文法役割を表す「が,を,へ,に」等の格助詞が,会話や新聞記事の見出しなどで省略されることがしばしばある。このような裸の名詞句が文の左端に現れる場合,主題としての談話的役割を帯びることが多い。しかしながら,述語に対する裸の名詞句が果たす文法機能が復元できる場合には,句のタグを直接拡張して機能を指定するか,あるいはその機能を表示すると考えられる助詞を書き入れる。便宜上,このような助詞を「省略された助詞」と呼ぶことにする。省略された助詞が主要文法役割を示す格助詞である場合,省略された助詞についての言及はなされず,当該の項は NP-SBJ,NP-OB1 等の下に置かれる。例えば,下の例では「掲示板のポスター」という名詞句につくはずの「を」が省略されているが,この場合は「を」を補完することはなく,単にその名詞句が直接 NP-OB1 とラベル付けされ,述語「見た」の目的語であることが示される。一方,主要文法役割を示さない(つまり,任意文法役割を示す)格助詞が省略されている場合は,PP 投射が作りだされ,省略された助詞が補完される。すなわち,終端ノードとして,* に挟まれた形で(下の例の *に* のように)本来の助詞が挿入される。
(96)
なんか、美奈子、掲示板のポスター、見た?
( (CP-QUE (IP-SUB (NP-SBJ *hearer*)
(NP (WPRO なん)
(P か))
(PU 、)
(NP-VOC (NPR 美奈子))
(PU 、)
(NP-OB1 (PP (NP (N 掲示板))
(P の))
(N ポスター))
(PU 、)
(VB 見)
(AXD た))
(PU ?))
(ID 28_spoken-refusal-response_JF06))
(97)
君、明日の会議出るの。
( (CP-QUE (IP-SUB (NP-SBJ;{HEARER_690} (PRO 君))
(PU 、)
(PP (NP (PP (NP (N 明日))
(P の))
(N 会議))
(P *に*))
(VB 出る)
(P の))
(PU 。))
(ID 690_textbook_kisonihongo))
PP が積み重なることは基本的にはない。すなわち,PP は通常 P の補部とはならない。複数の助詞が続く場合,同じ PP の下に複数の P がフラットに配置される。助詞「だけ,のみ,ばかり」は,必須および任意文法役割を表す助詞の前および NP-PRD の直後に現れることができる。とりたて助詞は「に」一般および任意文法役割を表示する助詞の後に現れる。このような状況で複数の助詞が隣接する場合,同一の句投射の下での姉妹としてアノテートされる。
(98)
折り紙にはこれしかありません
( (IP-MAT (PP (NP (N 折り紙))
(P に)
(P は))
(PP (NP (PRO これ))
(P しか))
(NP-SBJ *)
(VB あり)
(AX ませ)
(NEG ん))
(ID 53_translated_TED_1-RobertLang_2008))
「など」「とか」のような助詞が構成素並列の最後の並列句の後に現れるとき,それは並列句をまとめた NP の下に置かれる。
(99)
この近くには温泉とか野球場とかがあって、とても楽しいです。
( (IP-MAT (NP-SBJ *speaker*)
(PP (NP;{VICINITY_884} (D この)
(N 近く))
(P に)
(P は))
(IP-ADV (PP (NP (CONJP (NP (N 温泉))
(P とか))
(NP (N 野球場))
(P とか))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB あっ)
(P て))
(CONJ *)
(PU 、)
(ADVP (ADV とても))
(ADJI 楽しい)
(AX です)
(PU 。))
(ID 884_textbook_kisonihongo))
(100)
広東人は運輸、デパート経営などに関わった。
( (IP-MAT (PP (NP;{CANTON_PEOPLE} (NPR 広東人))
(P は))
(NP-SBJ *)
(PP (NP (CONJP (NP (N 運輸)))
(PU 、)
(NP (N デパート経営))
(P など))
(P に))
(VB 関わっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 69_wikipedia_Shanghai))
また,助詞「か」や「も」が疑問詞と結びついて不定性を示す場合にも,これらを NP の下に置く。
(101)
誰かが助けるだろう。
( (IP-MAT (NP-OB1;{MAN_67} *pro*)
(PP (NP (WPRO 誰)
(P か))
(P が))
(NP-SBJ *が*)
(VB 助ける)
(MD だろう)
(PU 。))
(ID 67_textbook_kisonihongo))
(102)
誰もその問題を解けなかった。
( (IP-MAT (NP-SBJ (WPRO 誰)
(P も))
(PP (NP;{PROBLEM_737} (D その)
(N 問題))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 解け)
(NEG なかっ)
(AXD た)
(PU 。))
(ID 737_textbook_kisonihongo))
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